2020/08/10 14:33

今非接触表温度測定ソリューションで話題のタブレット端末。既に各社から様々な機種が発売されており、実際に利用しているユーザーも増加しています。本製品の主な機能は

  • 基本的に顔認証タブレットである
  • IRセンサーと画像処理を追加して非接触での「検温」を可能にしている
  • 顔認証エンジンをチューニングし「マスク検知」を可能にしている
  • 既存の入出退管理システムとの連動可能

 などが特徴です。現在市中に流通している製品は製造も含めるとはぼ90%以上が中国製と思われます。

 

必要性に迫られて開発された

 なぜ中国製かというと、いくつかの要因が考えられます。

  • (おそらく)今回のCOVID 19の発生源が中国であること
  • 感染防止の観点から「非接触」による検温が必要だったこと
  • 中国では個人認証に顔認証を使用しており、エンジンの認証精度が高いこと(顔人認証技術は機械学習が可能であり、サンプル数が多いほど認証精度を上げることができる)
  • AI(ほぼ機械学習の意味)と顔認証の組み合わせが可能
  • 深セン等の安価なハードウェアと低コストのソフトウェアの入手が可能で基本的に自国内で全て調達が可能であること

 総じて、全ての必要な要素が揃っていたことと国内でのニーズがあったことが要因と思われます。皮肉な事に現在は波及された側がその技術を使用するという状況となっています。


非接触表温度計の実用度は?

 今回3メーカーの4機種について検証を行いましたが、もちろん医療機器でない前提として、異常高温者の切り分け用途には十分使用可能と感じました。(何を基準にするかにもよりますが)おおよそ、実際の表温度と大幅に異なる数値にはなっておらず、常識の範囲内に収まっている感じです。

 また、温度測定の速度についても製品毎に幅はあるものの実用の範囲内です。問題はマスク装着時に顔自体を認識できない場合が多いことと、製品によっては指定された枠内に顔を入れないと計測ができない。そのため測定者の身長によっては上下、前後で調整する必要があり、この作業が以外と時間がかかることです。これは(当然のことながら)今までは顔認証がマスクをしていない状態を想定してチューニングを行っているため、マスクをしている状態での顔認証精度(顔の捕捉を含めて)がまだこなれていない印象を持ちます。ただし最新の製品ではマスク装着時(それも鼻の上までかなり顔を覆う状態)でも全く問題なく認識できるため、チューニングレベルが相当上がっていることを感じます。


問題点は

 総じて製品自体は非接触表温度測定、マスク検知、(マスク装着状態での)顔認証も短時間で可能で非常に便利な製品であると思います。新型コロナの感染状況と対策にもよりますが、今後も暫くの間はこのような製品の必要性はあると思いますし、自身の感染予防、表温度測定する係員のリスク、体温記録の管理の労力等を考えると投資する価値はあります。その前提で問題点を考えます。

  • 上記でも触れたようにマスク装着時の顔の認識精度が低いものがあります。結果的に何度も位置を調整することになり、「ピ」で測った方が早いということになりかねません
  • 温度測定の距離も微妙。顔の認識と同様正確な検温をするための距離も微妙でこちらも前後で何度か調整することになり時間をロスします
  • 暗所での計測。意外だったのは暗闇での計測は(上記の問題を除き)問題なくできます。照度は問題になりません
  • タッチパネル式と非タッチパネル式:製品により(データ設定等の用途用に)画面を操作できるものがあります。管理者用には便利ですが、(知っている人に)不正操作をされる可能性があり、基本は非タッチパネルが正解と思います(各利用者の見解によります)
  • 管理機能:上記と逆になりますがタッチパネルがない製品は基本的にLANで接続する必要があり設備が必要です。
  • 機能に比べ価格が高い(ものがある)
  • 新型コロナ終息後の用途は?


結 論

 それぞれの製品に特長があり、使用する環境により最適なものを選択することが良いかと思います。

 - スタンドアロン:単純に非接触表温度計の代わりに使用 → コスパの高いものがお勧め

 - 入場管理用として、非接触表温度測定、マスク装着確認を行う → どの機種も使用可能

 - 温度測定データを外部システムで自動管理したい。必要時レポートとして出したい→外部システム連携可能なもの

  - 全ての要求を満足するコスパの高い製品を使用したい → 弊社お勧め「M2RV10」